公式写真では、暗い園路の先まで白い花が続き、株ごとに置かれた光が花冠の輪郭を浮かび上がらせている。昼の案内に写る同じ花畑は、緑の葉と白い花が広がる明るい地面だ。背景を作り替えたのではなく、生きた植物と時刻の変化が、同じ場所に二つの表情を生む。
大阪市立長居植物園のホワイトビンカフェアは、9月5日から27日まで。9月7日と14日は休園し、昼の開園は9時30分から17時、入園は16時30分までとなる。会場は園内のライフガーデン。白花のビンカ、すなわちニチニチソウが、今回のすべての企画の中心に置かれている。
昼の花畑が 夜には光の連なりへ変わる
チームラボは9月3日、同じ花畑で新作《生命は、闇にまたたく海》を公開した。作品では、人や野生動物が花へ近づいて立ち止まると、その場所のニチニチソウが強く輝き、音色を響かせる。反応は周囲の花へ連なり、奥から届く光は、視界に入っていない人や動物の存在を知らせる。
ここで光は、花の代わりになる装飾ではない。白い花冠が光を受け止め、離れた株へ連続して見えるからこそ、人の動きが花畑全体の変化として現れる。作品名の「海」も、青い映像を置くことではなく、個々の花が単体で終わらず、奥行きの中で呼応する構成に支えられている。
白い花は日中、葉との明暗差で一輪ずつ見える。夜はその白が、次の株へ光を渡す面になる。チームラボの説明と植物園のフェアを重ねると、昼と夜は別々の催しではなく、一つの植物が自然光と作品の光を着替える前後編になる。
白を身につけることが 花を見る距離を変える
フェア期間中、植物園は白い服や小物を身につけて花畑を歩く「ホワイトドレスコードチャレンジ」を案内している。白いワンピースだけに限らず、シャツ、Tシャツ、帽子、バッグ、靴の一点でもよい。参加は鑑賞の条件ではなく、植物の色を装いへ一度だけ移してみる任意の企画だ。
白い服を花へ同化させるというより、花と人の輪郭がどこで重なり、どこで分かれるかが写真に残る。ニチニチソウの白は均一な布の白ではなく、花の中心、花弁の重なり、光の向きで小さく変わる。服の面積が加わることで、かえって生きた花の不ぞろいな線が見えやすくなる。
9月5日と6日は、白い服または白いアイテムを身につけた来園者へ、ホワイトビンカの花苗を各日先着1,000人に配布する。時間は10時から15時30分で、なくなり次第終了。雨天時は中止となる。花畑で見る白を、自宅で育つ一鉢へ移す動線まで用意された。苗の配布は二日間に限られるが、フェアは27日まで続く。持ち帰る機会と、花畑をじっくり見る期間を分けて選べる。白い装いも苗も、数を競うためではなく、一面の花と自分の距離を変える入口として置かれている。
昼と夜を続けるなら 二つの入場条件を分けておく
昼の植物園と夜のチームラボは、同じ場所でも入場案内とチケットが異なる。植物園の通常入園料は大人300円、高校生・大学生200円。夜間展示の時間と料金は日によって確認が必要なため、チームラボの公式サイトと公式チケットサイトで来園日の最新表示を確かめたい。花の開花状況によって、新作の展示期間が変わる可能性も案内されている。
夜の園内は暗く、路面が整っていない場所を含む。公式案内は歩きやすい靴、防暑・防寒、季節に応じた虫よけと肌の露出を抑える服装を勧めている。白い装いを選ぶ日も、色だけで靴や長袖を後回しにしない。屋外展示は荒天の影響を受けるため、出発前の確認も必要になる。
一つの白が 見る人から育てる人へ渡る
花畑の色をそろえるフェア、白をまとう装い、光と音が伝わる夜の作品、持ち帰る苗。それぞれは別の参加方法だが、中心にあるのは一面のニチニチソウだ。アートが植物を背景に借りるのでも、服が花柄を写すのでもない。生きた白い花が、人の立つ位置、着る色、帰宅後の鉢へ関係を広げている。
昼だけなら、白い花の中心と葉の密度を確かめられる。夜だけなら、自分の動きがどこから光として返るかを体験できる。二つを続ければ、同じ花が自然光では一輪の形を見せ、暗闇では花畑の距離を見せることに気づく。9月の長居植物園では、白は単なるテーマカラーではない。植物と人の間を一日かけて移動する色になっている。
