Culture

枯れた幹へ、別の葉を継ぐ。TOUFU TOKYO「RE BONSAI™」

伊勢丹新宿店で始まった、盆栽の樹形を現代アートへ渡す一週間

白い背景に、ねじれた幹の線がくっきりと浮かぶ。葉を支える木肌には、長く育てられた跡と、枯れたあとに残った割れや曲がりがある。TOUFU TOKYOの「RE BONSAI™」は、その幹へ別のドライ加工した枝葉を継ぎ、室内で見るアートへ組み直す。2026年8月5日、伊勢丹新宿店で約50点を集めた一週間が始まった。

白い背景の前で、ねじれた灰白色の幹に濃緑の葉を組み合わせ、丸い鉢へ仕立てたRE BONSAI作品
写真提供:TOUFU TOKYO

冒頭の一枚で、深い緑の葉は白くねじれた幹の左側へ重なり、右へ伸びる枝先には余白が残されている。丸い鉢の上で、育っている最中の木というより、線と量感を組み合わせた立体として見えてくる。札には「RE BONSAI™」。生きた盆栽と同じ姿を目指すのではなく、いったん途切れた育成の時間を、別の素材と視線でつなぎ直す作品だ。

育て終えた樹形を、作品の始まりにする

TOUFU TOKYOの公式説明によれば、RE BONSAI™は枯れた盆栽から土を落とし、全体を乾燥させ、不要な枝や根を剪定して整えるところから始まる。そこへ独自にドライ加工した別の葉や、プリザーブド加工した枝葉を取り付ける。幹のうねりや裂け目は、それまで生きてきた木の形を残し、葉の密度や色は現在の作者が選び直す。

ここで見ているのは、枯れなかったことにする修復ではない。生木としての成長は終わっているから、水やりや剪定で形が変わることもない。その代わり、長い年月をかけて生まれた幹の線を捨てず、別の枝葉と鉢によって新しい輪郭を与える。家具や器を手入れしながら使い継ぐ感覚とも似ているが、素材にかつての生育の跡があるぶん、眺める時間には植物固有の奥行きが残る。

制作工程を知ると、幹と葉が同じ時間を生きたものではないことも、作品の一部に見えてくる。元の木がつくった曲線と、作者が選んだ新しい葉の量。その継ぎ目を隠し切るより、異なる年月を一つの輪郭へ整えることに意味がある。育てて完成へ近づける盆栽とは反対に、完成した形から過去の育成を読み戻すアートと言える。

真柏と五葉松に、藍の色を重ねる

伊勢丹新宿店本館5階で8月11日まで開かれる今回の展示販売では、主催者発表で樹齢10年から250年の真柏や五葉松を中心に、約50点の一点物が並ぶ。焦点の一つは、日本の藍染を取り入れた新作だ。盆栽でまず目に入る緑を、藍という人の手で生まれる色へ置き換えると、植物の写実から一歩離れ、木肌、鉢、葉の色面を読む作品になる。

公式写真に写る作品では、灰白色の幹と濃い葉、黒に近い鉢が一つの画面をつくる。枝の先まで葉で埋めず、幹が描く曲線を見せているのも印象的だ。古さを価値として飾るだけでも、鮮やかな色で過去を覆うだけでもない。残す部分と加える部分が、同じ鉢の中で分かれて見える。RareDexが注目したのは、この境界の明瞭さである。継承は、元の姿をそのまま凍結することだけではないと分かる。

約50点が集まる場では、正面の印象だけで決めず、枝が最も遠くまで伸びる方向や、幹が鉢の縁へ落とす線も比べたい。大きさや色が違っても、目に留まる理由が葉の鮮やかさなのか、古い木肌なのかで、部屋に置いたときの存在感は変わる。公式掲載の写真はイメージとされているため、当日の作品構成と在庫は会場で確かめる必要がある。

手を動かすと、枝の余白が見えてくる

会期中はRE盆栽作りとダルマ絵付けのワークショップも行われる。RE盆栽作りは約1時間から1時間半、税込11,000円。各日10時30分、13時30分、16時の枠が案内され、各回の定員は8人まで。事前予約は電話で受け付け、当日参加を希望する場合は店頭販売員へ確認する方式だ。空き状況と使用する素材は変わり得るため、訪れる前に会場へ確かめたい。

完成品を見るとき、視線はどうしても樹形全体へ向かう。けれど自分で組む工程を想像すると、一本の枝を残すか、葉をどこまで密集させるか、鉢の縁と幹の角度をどう合わせるかが見えてくる。RE BONSAI™は手入れを必要としないオブジェクトだが、その造形を読むには、むしろ育てる人が普段見ている枝の流れや重心が役に立つ。

水を与えない植物と、部屋でどう過ごすか

購入前に知っておきたいのは、これは生きた盆栽ではなく、水を与えない作品だということ。生木の季節ごとの芽吹きや日々の手入れとは、楽しみ方が異なる。乾燥・加工された植物素材としての扱い、設置場所、掃除、色や状態の変化、修理の可否は、作品ごとに店頭で確認したい。主催者は価格帯を3万円台から200万円台と案内しているが、価格の幅より先に、幹の来歴と、どの部分へ新しい手が加わったかを見比べたい。

植物と過ごす時間は、育て続ける時間だけではない。育成が終わったあとも、幹に刻まれた曲線を見て、その木が積み重ねた年月を想像することはできる。伊勢丹新宿店の一週間で見たいのは、完成した姿の華やかさと同時に、残された枝の一本だ。新しい葉を継ぐことで、古い幹がもう一度、部屋の視線を受け止める。

参考リンク・出典

この記事の調査・執筆で参照した情報です。各発信元でも原文をご確認いただけます。

  1. アップサイクル盆栽アートのパイオニア<トウフ トウキョウ>のポップアップを伊勢丹 新宿店本館5F センターパーク / ザ ステージ#5にて8/5(水)~1週間限定で開催! — TOUFU株式会社 / PR TIMES
  2. <TOUFU TOKYO> RE BONSAI™ POPUP — 伊勢丹新宿店 / 三越伊勢丹
  3. RE BONSAI™について — TOUFU株式会社
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