形を決める陶器と、形を変える花
Shiwaの名前は、肌や布などの表面にできる細い筋と、水面のさざ波から来ている。2026年4月のミラノデザインウィークで発表され、日本では10月30日から東京青山と大阪で展示・販売が始まった。大きさの違うLarge、Wide、Tallの3つの形があり、どの器も表面のひだが口元まで続く。
素材は白土。液状の粘土を石膏型へ流し込み、型が水分を吸うことで内側に粘土の層をつくる鋳込み成形を用いる。その後、職人が表面を整え、エアブラシで釉薬を施す。柔らかな布にも見えるひだは、陶器として形を保つようにつくられている。そこへ、同じ形には揃わない花が入る。
奈良は自身の制作について、建築と陶芸の融合を掲げ、設計と偶然性の間を行き来すると説明している。Shiwaに生けられた枝を見ると、その関係が身近になる。器のひだは繰り返されるが、枝の分かれ方や花の向きは揃わない。器と花が似た曲線を持ちながら、同じ形にはならないところに、この組み合わせの面白さがある。
青い花の塊から、テーブルを横切る枝へ
ゴトウフローリストの配布写真では、青いアジサイが低い器の片側へ大きく張り出している。細かな花が集まった丸みと、白いひだの起伏が隣り合う。後ろの洋ランは、花を離して上へ伸ばす。花器だけの高さではなく、花が広がる方向によって2つの器の関係が変わって見える。
一方、赤やオレンジを中心とした装花は、枝の長さを隠さない。細い枝が器から外へ出て、テーブルの上まで弧を描く。花が重なる中央に対して、先端では枝の線がはっきり見える。その差があるため、器の近くに目を止めたあとも、植物の形を追って視線が動く。

全景では、この枝の線が家具の大きさの中に置かれている。天井の細い木の列、長いテーブル、花器の縦のひだ。その中で斜めに伸びたり垂れたりする枝は、部屋の規則正しい線とは違う向きを持つ。花を家具のそばに足すだけでなく、植物の向きによって家具との距離が見えてくる。
今回の青山のフラワースタイリングは11月8日まで。Shiwaそのものの展示・販売と、花を生けたこの構成の期間は同じではない。花材を替えれば、同じ器の口から別の形が始まる。アジサイの丸みを横へ置くことも、枝を器の外まで伸ばすこともできる。白いひだは、そのたびに違う植物の形と隣り合う。
