Culture

森を、ガラス越しに住まわせる リナ・ボ・バルディのCasa de Vidro

75周年展「Janelas de Afeto e Memória」で見る、家と庭が一緒に育った時間

サンパウロの森の中で、細い柱の上にガラスの部屋が浮かんでいる。リナ・ボ・バルディのCasa de Vidroは、完成した1951年から庭と暮らしを受け入れながら輪郭を変えてきた。75周年展「Janelas de Afeto e Memória」は、透明な壁の向こうにある植物を背景ではなく、この家が育った時間として見せている。

サンパウロの緑に囲まれたCasa de Vidroのガラス張りの外観
JessNantes / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

サンパウロの森の中で、細い柱の上にガラスの部屋が浮かんでいる。リナ・ボ・バルディのCasa de Vidroは、完成した1951年から庭と暮らしを受け入れながら輪郭を変えてきた。75周年展「Janelas de Afeto e Memória」は、透明な壁の向こうにある植物を背景ではなく、この家が育った時間として見せている。

透明な箱は、森のあとに現れた

リナとピエトロ・マリア・バルディが選んだのは、サンパウロ南部のモルンビにある高台だった。インスティトゥート・バルディの記録では、二人が土地を求めた1949年、周囲には大西洋岸森林に由来する植生が色濃く残っていた。Casa de Vidroは1951年に完成したリナ最初の実現作で、まず建築があり、あとから庭を添えたというより、すでにある斜面と樹木の中へ生活の高さを差し込んだ家だった。

正面の大きなガラス面は、森を一枚の景色に整えて閉じ込めない。幹は柱と並び、葉の重なりは室内の家具や美術品の背後で季節ごとに明るさを変える。掲載写真では、白い床の下に細い支柱が立ち、その手前まで庭の緑が迫っている。建物が軽く見えるのは形だけの効果ではなく、地面から少し離れて植物の高さへ視線を置く、その位置関係から生まれている。

庭も最初の日のままではない。公式年譜には、1954年に外部の道を御影石と砂岩で舗装し、庭の植物をさらに購入したこと、1958年には三つ目の敷地を加えたことが残る。家の透明さは、完成時の森を保存した窓ではなく、植え足され、育ち、密度を増した庭を何十年も受け止める窓だった。建築と植物のどちらかを先に読むより、両方が時間の中で近づいたと考えるほうが、この家の現在に似合う。

75周年展が開く、骨格と暮らし

現在、Casa de Vidroでは「Casa de Vidro 75 anos — Janelas de Afeto e Memória」が開かれている。インスティトゥート・バルディが主催し、ブルーノ・シモンイスがキュレーション、ジャンカルロ・ラトラッカが会場構成を担う。公式案内が強調するのは、ガラスの窓が額縁のように切り取る景観と、十人の写真家が見た家の記憶だ。周年を数字で閉じるのではなく、同じ場所が異なる眼差しを受け取ってきたことを並べる。

展示には建築の技術図面、構造の骨格を示す新しい模型、家のために考えられた家具のスケッチ、かつて図書室にあったガラス棚の試作、リナとピエトロの手紙などが集められている。ガラスと細い柱の軽やかさの裏に、複雑な構造と長い手直しがあることを見せる資料だ。森に溶ける家という印象を、透明さだけの比喩で終わらせず、人が設計し、直し、住み続けた厚みへ戻してくれる。

写真を見るときも、建物だけを中央に置かないほうがいい。窓の反射に重なる葉、室内の小さな中庭、床面の下を抜ける斜面。十人の写真家の視点は、同じガラスが光、雨、樹冠の密度によって別の境界になることを伝える。植物は作品を飾る緑ではなく、ガラスを透かし、曇らせ、影を落とす側から建築に参加している。

建築を、庭の時間から見る

現地では、部屋を巡ることと庭を歩くことが切り離されていない。見学はガイド付きで、来場者は単独で庭や家へ入らない。だから一枚の正面写真だけでは分からない、上り坂から柱の下へ近づき、室内で樹木の高さと同じ視線に移る順序そのものが鑑賞になる。木の幹がどの柱と重なるか、葉影がどの家具に届くかを追うと、家の透明さが素材ではなく動線として見えてくる。

通常見学は木曜から土曜の10時、11時30分、14時、15時30分で、事前予約制。公式案内では一般58レアル、半額29レアル、10歳以下は無料となっている。専用駐車場と飲食場所はなく、移動に制約のある人向けの設備がないことも明記されているため、訪問前に最新条件を確認したい。展示は建築専門誌『PROJETO』の10月14日付案内で12月5日までとされている。

Casa de Vidroを植物のある建築として見ると、ガラスは内と外を消す魔法ではない。雨を隔て、光を通し、反射で森を二重にしながら、人の暮らしと庭の距離を測り続ける薄い境界だ。75年のあいだに植物は増え、家は修理され、窓から見える密度も変わった。その変化を隠さず受け入れることが、この家を静止した名作ではなく、今も育つ場所にしている。森を眺める窓の前で、建築もまた庭に見返されている。

参考リンク・出典

この記事の調査・執筆で参照した情報です。各発信元でも原文をご確認いただけます。

  1. File:Casa de Vidro, sede do Instituto Lina Bo e P. M. Bardi.jpg — Wikimedia Commons
  2. A Casa dos Bardi — Instituto Bardi / Casa de Vidro
  3. Visite a Casa — Instituto Bardi / Casa de Vidro
  4. Casa de Vidro 75 anos — Janelas de Afeto e Memória — Instituto Bardi / Casa de Vidro
  5. Casa de Vidro de Lina Bo Bardi ganha exposição pelos 75 anos — PROJETO