服を見て、食事へ向かい、エスカレーターに乗る。その途中で、一鉢の盆栽が視界へ入る。10月3日からルクア大阪で始まる「BONSAI × LUCUA osaka」は、盆栽を専用展示室に集めず、駅直結の館内へ点在させる。
服を見る速度に、別の時間を置く
会期は11月3日まで。ルクア1階とルクア イーレ3階の大型ショーウィンドウに加え、ルクア5階・9階、ルクア イーレ5階から8階、ルクアダイニング10階へ展示が広がる。ひとつの階だけで完結せず、上へ移動する動線そのものが鑑賞順になる。
主催は日本盆栽協同組合。文化庁の「日本博」に採択された「BONSAI JAPAN」の一環で、ファッションビルを文化との偶然の接点にする試みだ。盆栽を見に行く日ではなくても、服、家具、食事の間へ樹木の時間が差し込む。
一鉢ずつ、距離を変えて見る
公式案内は、樹種と樹形によって異なる表情を見どころに挙げる。まず鉢を含む全体の輪郭を離れて見て、次に幹の動き、枝の間隔、葉のまとまりへ近づく。同じ大きさに見える一鉢でも、重心が低いものと、枝先まで視線を持ち上げるものでは、周囲に生まれる余白が違う。
各階で一度だけ立ち止まり、直前に見た一鉢と比べる。幹がまっすぐ立つか、傾くか。鉢の縁に対して枝がどこまで張り出すか。品種名を覚える前に輪郭を比べると、盆栽が小さな木の集合ではなく、一鉢ごとに組み立てられた景色として見えてくる。
ショーウィンドウと実物を分けて歩く
館外の大型ショーウィンドウは、盆栽の姿を大きなビジュアルで見せる。一方、館内にはプロが手掛けた実物の盆栽が置かれる予定だ。外では形の強さを一枚の画面として受け取り、中では鉢、幹、枝、葉の距離を実物で確かめる。二つを同じ展示と考えず、見え方の違いまで含めて歩きたい。
10月12日は、見る側から仕立てる側へ
10月12日には、ルクア9階のLUCUAホールで小品盆栽のワークショップが開かれる。11時と14時30分の二回、各90分、定員は各回25人。参加費は3,000円で、事前予約が必要になる。
講師はBonsai Ento。盆栽の基本、鑑賞のポイント、剪定の実演と解説を受けながら一鉢を仕立て、完成した盆栽は持ち帰れる。展示で見た枝の間や樹形を、自分の手でどこまで残し、どこを整えるかへ置き換える時間になる。
一か月のあいだに、二度見る
公式案内上の開催時間は11時から23時、会場はJR大阪駅直結のルクア大阪。展示場所や当日の営業情報、ワークショップの受付状況は、出発前に公式案内で確かめたい。
一度目は、館内で不意に出会った一鉢の輪郭を見る。二度目は、別の階の盆栽と比べるつもりで戻る。同じ鉢が同じ場所にあっても、幹、枝、鉢のどこを見るかが変われば、景色は違って見える。
商業施設の速度に合わせて通り過ぎるか、一鉢の前で止まるか。ルクア大阪の盆栽は、展示室へ向かう予定がなくても、その選択を館内の途中へ置く。
