Culture

一対の葉が水を待つ リトープス・レスリーの秋

しわ、花、鉢の重さで、夏の休水から生育期へ戻す

石粒の間に沈むリトープス・レスリーは、地上に見せる部分のほとんどが一対の葉だ。夏を乾かして越えた鉢では、秋の涼しさとともに葉の張りや裂け目が変わり、ときには花が上がる。水を戻す合図は日付ではなく、葉、鉢、気温の三つに現れる。

バーゼル大学植物園で栽培される複数のリトープス・レスリー
Amada44 / Wikimedia Commons, CC BY 3.0

石粒の間に沈むリトープス・レスリーは、地上に見せる部分のほとんどが一対の葉だ。夏を乾かして越えた鉢では、秋の涼しさとともに葉の張りや裂け目が変わり、ときには花が上がる。水を戻す合図は日付ではなく、葉、鉢、気温の三つに現れる。

石に似るのは葉の先端

リトープス・レスリーは番杏科リトープス属の多年生多肉植物で、Kewは南東ボツワナから南アフリカのフリーステートにかけて自生すると記録する。砂漠や乾燥低木地で、地表の石に紛れる低い姿をつくる。

植物体の多くは土中にあり、地上には平らな葉先がのぞく。葉面の半透明な窓は内部へ光を通す。模様は飾りではなく、強い日差しと乾燥の中で地上部を小さく保ちながら光を受ける構造の一部だ。

二枚の葉は中央の裂け目で向かい合い、秋から初冬にはそこから白や黄系の花が上がることがある。同じ鉢でも個体ごとに張りや開花時期はそろわない。群生鉢ほど、一鉢一律ではなく各頭の変化を見分けたい。

夏の休水から急に戻さない

植物園の栽培案内は、リトープスの通常の生育期を春と秋とし、夏と冬は乾かすと説明する。ただし、日本の鉢で九月になった瞬間に潅水を再開する意味ではない。残暑、夜温、用土、風通しで休眠の終わりは動く。

まず葉の側面に軽いしわがあるか、鉢底まで乾いているか、持ち上げた鉢が十分に軽いかを確かめる。夜まで高温が残り、葉が張ったままなら待つ。日付と曜日だけで水を足さないことが、最初の過湿を避ける。

水を戻す日は、朝に鉢全体へ通し、鉢底から流れた水を受け皿に残さない。排水後は風を通し、再び用土が乾くまで待つ。毎日少量ずつ湿らせると、乾いた区間がなくなり、土中の体を腐らせやすい。

花が咲いても水を増やさない

裂け目から花芽が見えると、生育再開を確認する材料にはなる。しかし花は『毎日水が必要』という合図ではない。葉の張り、鉢の重さ、乾く速さを合わせ、前回の水が残っているなら次を待つ。

光は明るく、用土は排水性を高く保つ。夏の遮光下から強い直射へ一度に移すと葉焼けの危険があるため、光は段階的に戻す。風は鉢表面だけでなく、鉢内が乾く時間をつくるためにも必要になる。

室内では窓辺の夜温と日中の熱だまりを分けて見る。屋外では長雨と急な冷え込みを避ける。置き場所を動かした日は、以前の水やり間隔をそのまま引き継がず、新しい場所で鉢が乾くまでの時間を測り直す。

新しい葉が古い葉を使う冬

冬には裂け目から新しい葉が育ち、古い葉に蓄えられた水分と養分が移る。古い葉が薄くなる途中で水を足すと、その移行を乱しやすい。新葉が古い葉を吸収している時期は、乾いた管理を基本にする。

秋の水やりは、回数を決める作業ではない。一対の葉、鉢の重さ、用土の乾き、夜の気温を同じ順番で記録すると、その鉢だけの生育再開が見えてくる。石に似た小さな体は、変化を隠すのではなく、見る場所を絞っている。

参考リンク・出典

この記事の調査・執筆で参照した情報です。各発信元でも原文をご確認いただけます。

  1. Lithops lesliei (N.E.Br.) N.E.Br. — Royal Botanic Gardens, Kew — Plants of the World Online
  2. Overwatering the enemy of living stones — Dunedin Botanic Garden
  3. Lithops lesliei 001.jpg — Wikimedia Commons
  4. Creative Commons Attribution 3.0 Unported — Creative Commons
  5. Living Stones: Lithops — University of Wisconsin–Madison Extension
  6. Lithops lesliei — Leslie's living stone — Royal Horticultural Society