短い木質の幹から伸びている葉は、何枚にも見える。けれど、キソウテンガイことウェルウィッチア・ミラビリスが生涯につくる本葉は二枚だけだ。葉元は伸び続け、先端は風と砂、時間によって裂けていく。写真の株では、幅広い葉が地面に沿い、裂けた帯が幹の周囲へ重なる。枚数ではなく、葉元と先端を分けて見ると、この植物の形が読みやすくなる。
増えるのは葉数ではなく長さ
発芽後の二枚の本葉は、幹の上部にある葉元から伸び続ける。先端が摩耗しても基部の生長は止まらない。何本もの細い葉に見える部分は、新しい葉が次々に出た姿ではなく、一枚が縦に裂けた帯だ。
Kewは葉が長い個体で8〜14メートルに達し得ると紹介する。ただし、地面を這う葉は折れ、乾き、先端から失われる。鉢植えを眺めるときも、最長記録より、葉元に新しい緑が続いているかを見たい。
低い幹に雄雌の球果が立つ
ウェルウィッチアは裸子植物で、花びらのある花ではなく球果をつける。雄株と雌株は別々だ。成熟すると、雄株には細長い雄性球果、雌株にはより大きな雌性球果が立ち上がる。
葉の中央に見える低い木質部が幹で、その縁から枝分かれした球果の軸が出る。葉ばかりを追うと見落としやすいが、幹と球果の位置は一株の成熟段階を読む手掛かりになる。
自生地はナミビアからアンゴラ南部へ続く乾燥地だ。海岸側から入る霧も知られるが、根は地下へ伸びる。地上の二枚の葉と、見えない根の両方が長い時間を支える。
年齢より、生長点を確かめる
古く見える裂け目だけで個体年齢は決められない。葉は環境によって傷み方が変わり、長い帯も途中で失われる。幹の大きさ、球果の有無、栽培記録を合わせても、正確な年齢には記録が必要だ。
栽培株では、二枚の葉が出る中心部を傷つけないことが重要になる。葉先の裂けを整えるために基部まで切り戻せば、生長を担う部分へ近づきすぎる。裂けはこの植物の異常ではなく、葉が伸び続けた結果でもある。
SANBIは深い根を収める鉢と水はけのよい砂質の用土を挙げる。購入後すぐの植え替えを前提にせず、根鉢の深さ、排水、これまでの管理を販売者へ確認してから置き場所を決めたい。
一株の来歴も形の一部
流通株を選ぶなら、学名だけでなく、種子から育てた時期と場所、販売者が把握する由来を尋ねる。野生株のような古びた姿を価値にせず、栽培由来を説明できる株を選ぶことが、長く観察する入口になる。
写真の株はカリフォルニア大学植物園で撮影された。広がる葉、低い幹、中心から立つ球果の軸を一枚で見比べられる。先端の裂け目から中心へ視線を戻すと、二枚の葉が途切れず続く構造がわかる。
キソウテンガイの奇妙さは、葉が多いことではない。二枚しかない葉を根元でつくり続け、先端を失いながら同じ一株の時間を残すことにある。裂けた葉を数える代わりに、どこから伸びているかを見ると、その姿は驚くほど筋道立って見えてくる。
