天神中央公園の芝生から北を向くと、木々の段が建物の輪郭を隠しながら十四階へ続く。アクロス福岡のステップガーデンでは、屋上緑化が飾りではなく、公園の緑を上へ運ぶもう一つの地形になっている。
公園が建物の斜面へ続く
アクロス福岡は1995年4月29日、旧福岡県庁跡地に開館した。南側は天神中央公園へ向かって段状に下がり、その各階の屋根に樹木と低木が植えられている。
公式案内によると、植栽は二階から十四階まで約5,400平方メートルに広がる。樹形をそろえて整えることで、公園の樹冠が建物の上まで連続して見えるよう計画された。
三万七千株から始まった庭
竣工後に植えられたのは76種類、約37,000株。追加植栽に加え、鳥が運んだ種子も根づき、現在は約120種類、50,000株へ多様さが増したと施設は説明する。
数字が示すのは、完成時の図面で止まらない庭の時間だ。植えた木だけでなく、飛来した種子や伸びた枝が、三十年以上かけて緑の密度を変えてきた。
遠景では一枚の斜面に見えても、階段を上ると高さごとに葉の重なりがほどける。公園側から見上げた樹冠と、足元で触れずに観察する葉では、同じ建物でも輪郭が違う。
入口は公園側にある
ステップガーデンは建物内部からではなく、公園側の二つの入口から入る。三月から十月は9時から18時、十一月から二月は17時まで。荒天時は閉鎖されるため、当日の公式案内で確認が必要だ。
屋上展望台は土日祝日の10時から16時に開く。最上部まで上ることだけを目的にせず、途中で公園との高さが入れ替わる地点を探すと、植栽がつくる地形を読みやすい。
雨の直後や強い日差しの時間は、石段と葉の状態が変わる。植物へ踏み込まず、通路から葉陰、幹、排水の流れを追うと、屋上の庭が地上の花壇とは違う条件で保たれていることが見えてくる。
葉陰は街の温度にも触れる
施設は九州大学の調査結果として、夜間にステップガーデンから生じる冷気によって、庭と隣接する公園が周辺市街地より比較的涼しくなると紹介している。緑は外観だけでなく、周囲の空気にも働く。
公園から見える緑の斜面、階段で近づく葉、夜に下りる冷気は、別々の演出ではない。植物が建築の表面に根を張り、時間とともに数を増やした結果として一つの風景になっている。
アクロス福岡の南面を眺めると、建物と庭の境界は樹冠の中へ消えていく。公園の続きを十四階まで育てるという考えが、毎日の剪定、飛来する種子、季節ごとの葉色によって今も更新されている。
