小さな葉が重なる枝を斜めから見ると、緑の上に青い光が走る。セラギネラ・ウィルデノウイの色は一枚の塗膜ではなく、視線と光の向きが変わるたびに表情を替える。
青は葉の表面で生まれる
シンガポール国立公園局は、この種の葉を金属光沢のある青緑色と記し、見る角度によって緑や桃色の色調も現れるとしている。写真の青だけを基準にすると、同じ株の別の瞬間を見落とす。
英国王立植物園キューは、セラギネラの葉にある顕微鏡的に薄い透明な層が光を反射し、人の目には青く見えると説明する。色素の色だけでなく、葉の構造が光を返す「構造色」だ。
コレクションは角度まで含む
正面から青く見えた枝が、鉢を少し回すと深い緑へ戻る。均一な青を求めるより、朝と夕方、窓側と室内側で光がどう移るかを見るほうが、この植物の輪郭に近づける。
枝には数ミリの葉が二列に並び、地表を這いながら他の植物へ絡むこともある。青い面だけを切り取った写真より、枝分かれと重なりを一緒に見ると、株全体が光を受ける仕組みがわかる。
キューの植物データベースでは、Selaginella willdenowiiは受容された学名で、バングラデシュ南東部から中国南部、マレー群島西部・中部に分布する湿潤熱帯の植物とされる。シダに似ていても、分類上はヒカゲノカズラ類に近い小葉植物だ。
青を強い光で追わない
野生では熱帯林の地表に生え、シンガポール国立公園局は半日陰から日陰、十分な水分を好む種として案内する。青を濃くしようと急に強い光へ移すのは、この来歴と逆方向になる。
置き場所を変えるときは、色だけでなく葉先の乾き、枝の張り、用土の乾き方を一緒に見る。構造色の生態的な役割は一つに決めつけず、光の反射として見える現象と、株が求める環境を分けて考えたい。
湿り気は途切れさせず、空気は止めない
日陰を好むことは、暗く閉じた容器に固定する意味ではない。用土の湿り気を保ちながら、葉の間に空気が動く場所を選ぶ。葉色だけで水分を判断せず、用土と新しい枝の状態を確かめる。
乾燥した部屋では、鉢の近くの湿度を整えつつ、長く水が滞留する置き方を避ける。環境を一度に変えず、数日ごとに枝先と用土を観察すれば、青を追いかける作業が株を疲れさせにくい。
一鉢の青は同じ場所に留まらない
セラギネラ・ウィルデノウイを集める面白さは、青い株を所有することだけではない。葉の層、光の角度、枝の重なりが、その場だけの色をつくる。鉢を回すたびに青が移り、熱帯林の地表で育った植物の見え方が部屋の中で続いていく。
