亀甲模様の塊根を見ていても、水を戻す日は読めない。見るべきは、その上から伸び始める一本の緑だ。亀甲竜は、休眠明けを日付ではなく新しい蔓で知らせる。
生育の合図は、暦より細い蔓
亀甲竜、Dioscorea elephantipesは、南アフリカのケープ地方を原産とする塊根性のつる植物だ。自生地では主に涼しい季節に生育し、暑い時期に葉と蔓を落として休む傾向がある。
ただし、室内や温室の個体は同じ日に目覚めない。九月になったから水を増やすのではなく、塊根の頂部に新しい芽が現れ、細い蔓が動き始めたかを先に確かめる。
最初の水より、排水を先に見る
緑の動きがない休眠中は、水を控える。新しい蔓が確認できたら、鉢底から水が抜けることを確かめて水やりを戻し、受け皿に水を残さない。次の一回は曜日ではなく、用土が乾き、鉢が軽くなったあとにする。
排水のよい用土でも、鉢の材質、根の量、置き場所の風で乾く速さは変わる。素焼き鉢と樹脂鉢を同じ間隔で扱わず、持ち上げた重さと表面より少し内側の乾きを一緒に見る。
塊根と蔓に、別の光を渡す
自生地では、塊根が低木の陰に入り、蔓が光へ伸びる。栽培でも、亀甲模様の塊根を強い直射と熱にさらし続けず、伸びる蔓には明るさと細い支柱を用意する。
新しい蔓は柔らかく、行き先を探しながら支えに絡む。毎日ほどかず、早めに円形の支柱や細い枝へ誘導すれば、葉を重ねずに光を受けやすい。
黄色い葉は、次の合図になる
生育期が進み、葉が黄変して蔓が枯れ込むと、水を減らす時期が近づく。一本の葉だけで決めず、新しい蔓が止まったか、鉢が乾く速度も落ちたかを合わせて見る。
休眠は失敗ではない。生育を終えた個体へ、葉が茂っていた時と同じ頻度で水を続けない。反対に、緑の蔓が伸び続けているなら、暦だけで強制的に乾かさない。
一行の記録が、次の秋をつくる
芽を見つけた日、鉢が軽くなった日、次に水を与えた日を一行ずつ残す。固定の水やり表ではなく、自分の鉢がどれだけの時間で乾くかを記録するためだ。
掲載写真は、ポーランドのヴロツワフ大学植物園の温室で育つ亀甲竜。日本の室内と同じ環境ではないが、生育中の姿を確かめられる。水やり日を先に決めず、一本の緑が動くまで待ち、動いたあとは鉢の重さを読む。
