白い球を割ると、薄皮に包まれたひとかけが現れる。台所では香りの単位になるその一片が、畑では一株の始まりだ。ニンニクは秋に土へ入り、地上が静かな冬にも根を伸ばし、翌年の初夏へ球を育てていく。
ひとかけの内側に、次の株がある
ニンニクの受容名はAllium sativum。KewのPlants of the World Onlineは、温帯に育つ球根性の植物として記録している。普段「一玉」と呼ぶ部分は、複数のりん片が重なった鱗茎だ。その一片ずつに芽と根を出す基部がある。
植える球は、食用売り場からではなく、栽培用として品種名と地域適性が示された種球を選びたい。RHSは、食用のニンニクは気候に合わない場合があり、病害を持ち込むおそれもあるとして、園芸店や種苗業者の名のある品種を勧めている。
秋植えには、寒さという工程がある
ニンニクは寒さを避けるだけの植物ではない。RHSの栽培資料では、多くの品種が良い球を作るために0〜10度ほどの低温を一〜二か月必要とし、中秋から初冬の植え付けを基本としている。寒さは翌年の球づくりへ続く合図になる。
ただし、植える日を全国で一つに決めることはできない。University of Minnesota Extensionは、現地では強い霜の一〜二週間後を目安にする。日本でも暖地と寒冷地では冬の進み方が違うため、種球の表示と地域の栽培暦を優先したい。
平らな底を下、尖りを上
球を一片ずつに分けるのは、植え付けの一〜二日前が目安になる。薄皮をむかず、傷や柔らかい部分のない一片を残す。平らな基部から根が出るので下へ向け、尖った側を上へ置く。上下が逆になると、芽は土の中で余分に曲がらなければならない。
RHSは、地植えでは株間15センチ、先端が土の下2.5センチほどになる深さを一つの基準としている。軽い土と重い土では適する深さが違う。数字だけを写すより、水が抜け、冬に球が長く濡れ続けない場所を整えることが先になる。
冬は、見えない部分が進む
寒冷地の資料では、本格的な凍結の前に根と芽が動き始めても、地上の芽は春まで現れないことがある。何も起きていないように見える畝の下で、一片は土をつかみ、次の季節に備えている。
雪や凍結が続く地域では、落ち葉やわらを敷いて地温の急な変化を和らげる方法がある。一方、暖かく雨の多い場所では厚い被覆が湿気を抱えることもある。冬の保護は、寒さの強さと土の乾き方を見て調整する。
春に残すのは、葉と間隔
春に葉が立ち上がれば、周囲の草を早めに抑え、乾燥が続くときは土を深く湿らせる。やがて葉の光が地下の球へ蓄えられる。秋に分けたひとかけは、冬の根、春の葉、初夏の球へ姿を変える。その順序を知ると、静かな畝にも次の収穫が見えてくる。
