Culture

花だけでは終わらない ASBA国際植物画展の50点

2026年9月10日、ニューヨークで開幕。サボテン、ユリ、カキの葉、梨が、それぞれの紙と画材に置かれる。

白い壁に、サボテン、ユリ、カキの葉、梨が、別々の紙と技法で並ぶ。米国植物画協会とSociety of Illustratorsによる第29回国際展が、2026年9月10日にニューヨークで始まった。花の盛りだけでなく、葉と果実まで植物を見分ける手がかりとして画面へ残す、50点の植物画が集う。

Kane Woods Nature Areaで、暗い花芯を黄色い舌状花が囲むRudbeckia hirta
Cbaile19 / Wikimedia Commons(2015年登録、Kane Woods Nature Area。展覧会作品・カタログ表紙ではない)

白い壁に、サボテン、ユリ、カキの葉、梨が、別々の紙と技法で並ぶ。米国植物画協会とSociety of Illustratorsによる第29回国際展が、2026年9月10日にニューヨークで始まった。花の盛りだけでなく、葉と果実まで植物を見分ける手がかりとして画面へ残す、50点の植物画が集う。

50点は 植物名と素材を持つ

会場はマンハッタン東63丁目にあるSociety of Illustratorsの三階、Garden Gallery。公式案内によると、会期は2027年1月9日までで、米国植物画協会の国際展がこの建物に入るのは二回目となる。会場の規模や来場者の反応は資料から推測せず、確認できる50点という構成と作品情報に焦点を置く。

公開された作品一覧には、Olga Ryabtsovaのウチワサボテン、Deborah FriedmanのLilium henryi、Yan Jiのカキの葉、Gaye Grossmanの梨が並ぶ。花だけに限らず、葉や果実までが題材になる。作品名に植物名が残るため、鑑賞者は色や構図だけでなく、何を観察した絵なのかを確かめられる。

展覧会ページに掲載された現代作品の画像は、主催者と作家が著作権を保持している。ASBAのカタログページも、作品画像の保存や再掲載には作家の明示的な許可が必要だと示す。RareDexでは作品画像を転載せず、記事の冒頭には同じ植物文化へ入るための、別のCC0写真を置いた。

表紙のRudbeckiaは 花芯の形を残す

2026年版カタログの表紙作品は、Jessica Daigleの「Rudbeckia hirta, Last」と明記されている。題名以上の姿や制作意図は断定できないため、ここでは表紙を再現しない。その代わり、題材となったRudbeckia hirtaそのものの構造を、園芸資料と再利用可能な写真で確かめる。

掲載写真は、ペンシルベニア州Kane Woods Nature Areaで撮影されたRudbeckia hirta。黄色い舌状花が、暗い紫褐色の盛り上がった中心を囲む。ノースカロライナ州立大学の資料は、10〜20枚の黄橙色から赤色の舌状花と、卵形に盛り上がる暗色部を特徴として挙げている。

写真は展覧会作品でも、カタログ表紙でもない。2015年にCommonsへ登録されたCbaile19の自作写真で、原寸2272×1704ピクセル、CC0。原典ページから実際の原画像リンクを開き、同じファイルであること、植物名、撮影地、権利条件を照合した。

紙と絵具が 観察の距離を変える

公式一覧では、水彩紙、色鉛筆と紙、ヴェラム、黒い紙へのガッシュなど、支持体と画材が作品ごとに記される。Hyun Jung KimのScilla sibericaは色鉛筆、Albina Herronの白いスミレは黒い紙へのガッシュ、Jane Fournierのローズヒップはヴェラムへの水彩だ。

素材の違いを優劣へ置き換える必要はない。黒い地が輪郭をどう立ち上げるか、ヴェラムの表面に水彩がどう留まるか、色鉛筆が細部をどこまで刻むか。作品名、植物名、画材を同時に見ると、観察の置き場所が作品ごとに異なることが分かる。

関連企画には、9月16日のBotanical Costumed Sketch Nightに加え、11月21日の「The Beauty of the Faded Specimen」がある。後者は乾燥し、古くなっていく植物から色を探す講座として案内される。開花の瞬間だけを植物画の価値にせず、変化した標本も観察対象にする姿勢が、展覧会の外側まで続く。

一月まで続く 植物の名札

第29回国際展は2026年9月10日から2027年1月9日まで。会場は128 East 63rd Streetで、開館日や入場条件は訪問前にSociety of Illustratorsの最新案内を確認したい。現在の公式ページには、作者の地域、作品名、画材が並び、会場へ行けない読者にも題材の幅が伝わる。

植物画の前では、まず植物名を探し、次にどの部位や生育段階が置かれ、どの画材が選ばれたかを追う。ウチワサボテンと梨、スミレとカキの葉では、輪郭、表面、重なりの手がかりが違う。名前と素材の組み合わせが、一枚を装飾ではなく植物の記録として受け取る入口になる。

Rudbeckia hirtaの暗い花芯を囲む舌状花も、ただの黄と茶では終わらない。植物名が付くことで、盛り上がる中心と放射状の花の形が、その種を見分ける情報へ変わる。50点の国際展は、花の美しさを狭めるのではなく、葉、実、終わりかけた姿まで美の範囲へ戻している。

参考リンク・出典

この記事の調査・執筆で参照した情報です。各発信元でも原文をご確認いただけます。

  1. American Society of Botanical Artists 29th Annual International Exhibition — Society of Illustrators
  2. 2026 — 29th Annual International catalog — American Society of Botanical Artists
  3. Rudbeckia hirta — North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox
  4. Rudbeckia hirta, Kane Woods Nature Area — Wikimedia Commons
  5. CC0 1.0 Universal — Creative Commons