Culture

金色の葉が 25年を数える ルッカのMurabilia 2026

Ginkgo bilobaを記念の印に、植物の多様さを25点ずつ並べた九月の園芸祭

九月上旬、イタリア・ルッカの城壁は、植物を一株ずつ見比べる場所になった。2026年9月4日から6日まで開かれた園芸祭「Murabilia」は25回目を迎え、扇形の葉を金色へ変えるGinkgo bilobaを記念の印に選んだ。会期は終わっても、25という数で植物の違いを可視化した展示には、手元の一鉢を観察する方法が残る。

黄葉したGinkgo bilobaの樹冠(2014年ニュージャージー州撮影、Murabiliaの会場写真ではない)
黄葉したGinkgo biloba(2014年11月、米国ニュージャージー州。Murabiliaの会場写真ではありません)。写真:Famartin/CC BY-SA 4.0

九月上旬、イタリア・ルッカの城壁は、植物を一株ずつ見比べる場所になった。2026年9月4日から6日まで開かれた園芸祭「Murabilia」は25回目を迎え、扇形の葉を金色へ変えるGinkgo bilobaを記念の印に選んだ。会期は終わっても、25という数で植物の違いを可視化した展示には、手元の一鉢を観察する方法が残る。

金色は 一枚の葉から始まる

主催者が2026年のテーマに掲げたのは「Gold」。植物画家Alessandro Infusoが描いた秋のGinkgo bilobaの枝が、25回目の図像を担った。緑から黄へ移る扇形の葉は、祝祭の金色を借り物の装飾にせず、実在する植物の季節変化へ結びつける。色だけでなく、葉の輪郭と枝への付き方までが、周年の記憶を支える形になった。

掲載写真はMurabiliaの公式図案ではなく、2014年に米国ニュージャージー州で撮影されたGinkgo bilobaの参考写真だ。会場や展示を再現せず、黄葉した樹冠と扇形の葉だけを手掛かりにする。イベントの図像と別の写真を置くことで、公式作品を無断で代用せず、植物そのものへ視線を戻せる。

主催者はこのGinkgo bilobaに、記憶、長寿、更新という意味を重ねている。これは植物学上の性質をそのまま標語にしたものではなく、周年に向けた解釈だと分けて受け取りたい。そのうえで、毎年同じ形の葉が季節ごとに色を変える事実と、25回続いた催しの時間を一枚に重ねる判断には説得力がある。植物画は種を識別する輪郭を保ちながら、行事の時間も伝えていた。

25を並べると 差が立ち上がる

周年の数字は、展示の方法にも使われた。公式案内によると、ローズマリー、観賞用キイチゴと原種系パッションフラワー、オークの仲間が、それぞれ25の違いを見せる小展示になった。さらに、ブドウ・穀類・ナシやリンゴの仲間、グラウンドカバー、ブッドレア、秋咲きアスター、シチリアの芳香植物、スイレン、トマト、コロカシアへ続く。

この並べ方の価値は、25を順位に変えないことにある。同じ名で呼ばれる植物でも、葉の幅、縁、節の間隔、茎の立ち方、株の広がり方は一様ではない。ひとつだけなら「ローズマリー」で終わる輪郭が、複数を隣り合わせると差として見えてくる。希少さを競うより、変異や園芸品種の幅を観察できる構成だ。

手元で同じ方法を試すなら、葉を採ったり株を動かしたりする必要はない。園芸店や植物園で同じ属の三株を探し、葉の向き、枝分かれの位置、地表を覆う速度など、ひとつの項目だけをそろえて見る。名前を先に覚えるより、共通点と違いを一つずつ言葉にしたほうが、次に出会う株の輪郭を思い出しやすい。

列挙された植物群は、木本、草本、水生植物、食用作物、香りを楽しむ植物まで尺度が大きく異なる。だから会場全体を一つの基準で比べるのではなく、まず同じ小展示の内側で差を見る必要がある。オークの樹形とスイレンの葉を競わせず、それぞれの25点が共有する特徴を探す。比較する範囲を限定することが、多様さを雑多さへ変えないための編集になっている。

城壁から 植物園へ続く動線

Murabiliaはルッカ城壁のSan RegoloとLa Libertàの稜堡、そしてルッカ植物園に広がった。主催者の案内では、200を超える出展者の多くがナーサリーで、珍しい植物や新しい導入、古いものと新しい園芸品種を扱う。販売の場だけでなく、植物名や育てられてきた時間の層を見比べる場でもあった。

植物園は同じ入場券で公開され、ガイドツアーが設けられた。公式記事はフランジパニのコレクションの開花と、小温室でのラン展を案内している。城壁上の小展示から、生きたコレクションを育てる植物園へ歩くと、鉢で選ぶ植物と、環境の中で成熟する植物を別の尺度で見られる。買う前の比較と、長く育った姿の観察が一日の動線でつながる。

祝祭のあとに 残る見方

この動線は、希少な一鉢を見つけることだけを目的にしない。名札で知った名前を植物園の成熟株で探し、葉の大きさや枝の広がりが鉢の中とどう違うかを確かめる。逆に、植物園で気づいた形を小展示へ戻って見直すこともできる。展示と生育環境の往復が、商品名や珍しさだけでは残りにくい植物の像を、具体的な観察へ置き換える。

25回目のMurabiliaは9月6日に閉幕した。けれども、Ginkgo bilobaの葉を周年の印にし、多様な植物群を25点ずつ並べた方法は、会期の外へ持ち出せる。色を入口にして葉の形を見る。名前を入口にして株ごとの差を見る。ひとつの植物を象徴へ縮めず、同じ名の内側にある幅を確かめることが、園芸祭の余韻を植物へ返す。

参考リンク・出典

この記事の調査・執筆で参照した情報です。各発信元でも原文をご確認いただけます。

  1. Murabilia home — Murabilia / Lucca Crea
  2. Murabilia 2026 è “Gold” — Murabilia / Lucca Crea
  3. 25 x 25: gli anni di Murabilia si moltiplicano per 25 piante in mostra — Murabilia / Lucca Crea
  4. L’Orto Botanico e la bellezza delle orchidee in mostra — Murabilia / Lucca Crea
  5. Lucca Crea: Murabilia — Lucca Crea
  6. Ginkgo during autumn at the Ewing Presbyterian Church Cemetery — Wikimedia Commons / Famartin
  7. Attribution-ShareAlike 4.0 International — Creative Commons