Culture

南阿蘇のローズマリーが香りの先へ THREE「バランシング フロー」

自社ハーブガーデンで育てた二つの精油が香りと整肌成分を兼ねる

細い葉が幾重にも重なるローズマリー。その葉から得る精油を、芳香だけでなく化粧品の整肌成分として組み込んだのが、THREEの新しいスキンケア「バランシング フロー」だ。熊本県南阿蘇村の畑、蒸留所、化粧品のボトル。その距離を縮めるものづくりが、8月21日に予約を始めた。香りの背景にある土地と工程まで、選ぶ理由の中へ入ってくる。

細長い緑の葉を密に伸ばすローズマリーの枝葉
撮影:Filo gèn'|Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

冒頭の写真は、南阿蘇の畑や新製品を写したものではない。ローズマリーの葉と枝の形を確かめるために選んだ植物資料だ。針のように見える葉は厚みがあり、茎の近くで向きを変えながら重なる。KewのPlants of the World Onlineが受容名とする学名はSalvia rosmarinus。THREEの商品ページでは、精油の原料をローズマリー葉油と表記している。完成した化粧水の手前には、こうした一株の姿がある。

香りの原料をブランドの畑へ戻す

THREEは、熊本県南阿蘇村の自社ハーブガーデンで芳香植物を栽培している。ローズマリーは枝と葉を収穫し、水蒸気蒸留によって精油を得る。新シリーズで鍵になるのは、このローズマリーとペパーミントだ。インテンシブラインにはローズマリー葉油、コンディショニングラインにはセイヨウハッカ油を、いずれも着香成分と整肌成分として配合したと公式ページで説明している。

植物名をラベルへ添えるだけなら、産地は遠い背景のままでも成立する。今回気になるのは、栽培、蒸留、研究、製品化を近づけたことだ。THREE Aroma Distilleryの案内では、苗のDNA検査から始め、土起こし、収穫、蒸留までを地域とともに進める。収穫後の植物は酸化を抑えるため蒸留所へ運び、蒸気を通して芳香成分を油と水へ分ける。香りは抽象的なイメージではなく、畑の管理と収穫時期に左右される素材になる。

五十反の畑と蒸留所を一つの設計にする

農林水産省が2026年に公開した企業事例では、THREE ハーブガーデン南阿蘇は五十反、東京ドーム約一個分とされ、800リットルの蒸留器二台と400リットル一台を備える。資料は、耕作放棄地で香料植物を育てることを、商品原料の確保だけでなく、雇用や地域環境の保全へつなぐ取り組みとして整理している。ブランドの価値を植物の名称だけでなく、土地を使い続ける仕組みから組み立てている点が重要だ。

蒸留後に残るものも、工程の外へ追い出さない。同資料と蒸留所の公式案内は、芳香蒸留水や植物残渣を、肥料や家畜の飼料などへ活用していると説明する。すべての残渣が同じ経路をたどるわけではなく、環境効果を商品一つから測ることもできない。それでも、精油だけを取り出して終わらせず、残った水と植物を次の用途へ回す設計は、化粧品のボトルからは見えにくい仕事を伝える。

精油を香りと整肌成分の二役へ

「バランシング フロー」は、ローズマリーを使うインテンシブと、ペパーミントを使うコンディショニングの二系列で構成される。それぞれに化粧水とモイスチャライザーがあり、少量のスターターキットも用意される。THREEはローズマリー精油を保湿によるハリのケア、ペパーミント精油を乾燥とべたつきのケアに関わる整肌成分と位置づける。ここは植物一般の効能ではなく、ブランドが製品処方について示した範囲として受け取りたい。

ローズマリーとペパーミントはいずれもシソ科だが、形も来歴も同じではない。KewはペパーミントをMentha × piperitaという交雑由来の植物として記録している。新シリーズは、植物の物語を一つの「自然派」という言葉へまとめず、異なる精油を二つの肌感触と香調へ分けた。ローズマリーはハーバルフローラル、ペパーミントはベルガモットを重ねたハーバルシトラス。選ぶ入口が、効果の強さだけでなく、香りと使い心地の違いにも置かれている。

予約前に原料と使い方を分けて確かめる

予約は2026年8月21日に始まり、全国発売は9月4日。公式ページでは二系列の化粧水、モイスチャライザー、スターターキットを確認できる。肌に使うのは、化粧品として処方された各製品だ。THREEが別に販売する単体のローズマリー精油は室内芳香用で、直接肌へ塗らないよう注意が示されている。植物名が同じでも、精油そのものと化粧品は用途が違う。購入時は商品名と使用方法を分けて確かめたい。

化粧品の棚では、植物は成分表の数文字まで小さくなる。けれど、その手前へ戻れば、葉の形、畑の面積、蒸留器、残渣の行き先までが一つの製品を支えている。南阿蘇のローズマリーが香りの先へ進んだ今回のシリーズは、肌に合うかを選ぶ前に、植物がどのような工程を通って手元へ来るのかを確かめる入口にもなる。

参考リンク・出典

この記事の調査・執筆で参照した情報です。各発信元でも原文をご確認いただけます。

  1. File:Rosmarinus officinalis (Lamiaceae).jpg — Wikimedia Commons
  2. THREE Aroma Distillery — THREE
  3. THREE エッセンシャルオイル ローズマリー 水蒸気蒸留法(南阿蘇) — THREE
  4. 中山間地域の耕作放棄地を、ブランドの価値へ。 — 農林水産省
  5. Salvia rosmarinus Spenn. — Plants of the World Online / Royal Botanic Gardens, Kew
  6. Mentha × piperita L. — Plants of the World Online / Royal Botanic Gardens, Kew
  7. BALANCING FLOW — THREE
  8. THREEのオリジナル精油が、香りと整肌成分へ。精油科学でハリとうるおいを巡らせる新スキンケア「バランシングフロー」誕生 — 株式会社ACRO / PR TIMES